ポップスで使用されるギター、必要な道具、金額、練習方法など
ポップスについて
ポップス=ポピュラー=流行
そう捉えるのであればポップスは時代や性別、トレンドによって大きく異なるもの。
つまりポップスで使用されるギターにおいても例外ではなく
使用されるギターも道具も金額も異なる
と言える。
まあ、そんな事ばかり言ってしまうと身も蓋もなくなってしまうので、ここではポップスにおけるギター練習の考え方を書いていこうと思う。
「やりたいこと」から考える
まず自分の好きなアーティストを選び、その楽曲を研究する。
例えば
- コピーしたいアーティストを決める
- その中でやってみたい曲を決める
- その曲のギターはどんな音かを考える
- その音から必要な楽器と道具(できればスコアも)を考えて探す
- 必要な道具がそろえて練習する
という順番である。
ここではあくまで
「好きなアーティストのギターをそのままマネする」
という点に絞った話をしている。
好きなアーティストの曲で弾き語りしたい
という場合はアプローチが全く異なるので注意してほしい。
必要な金額
この問題については
「どこまでクオリティを求めるかで金額が異なる」
というのが答えとなる。
例えば大体似ている音にするためには
- ギタリストが使用しているギターと同じタイプのギター(※)を探す
- 使用している音色が大体入っているギターアンプを買う
- シールド、ピックなど付属品をそろえる
※ギターのタイプに関しては別の記事にて説明する
となり、安く見積もると大体5万円未満でカタが着く。
個人的に初心者は上記からスタートすることをオススメする。
何故なら音色に拘ると、その一曲のみしかコピーできない状況に陥るからだ。
また、多くの場合プロが使用している機材というのは高くつく。
一曲をコピーするために何十万円も何百万円もお金をかけていたのではキリがない。
もちろん本格的なコピーバンドを結成し、完全にオリジナルと同等のものを使用したいと言った場合は話が別だが。
練習方法
- 音色を作る
- フレーズを弾けるようにする
- 音源と合わせて弾く
となる。
まず最初にオリジナルと同じ音色にしないとその後の練習が難しくなる。
例えば、歪みのエフェクトがかかった音色をクリーンで練習すると次のような問題が起こる。
- 音色が違くてイメージしずらい
- サスティーンが短くて変な感じになる
- 早いフレーズを弾いた時に合っているのか間違っているのかわかりにくい
などだ。
音色が極端に異なるということは、違う楽器を演奏しているということと同じだ。
特に加工できる音の幅が広いギターにおいてはその差が顕著に現れるので注意が必要だ。
アプローチから考える
エレキギターは特に様々な音色作りが可能だ。
使用する機材によってはピアノやシンセサイザーなどの音色すら作れてしまう。
つまり、様々なエフェクトを屈指すれば違う楽器の模倣すらできてしまうということだ。
そこで、別の楽器のコピーもしてみることをオススメする。
何故ならポップスは曲によってギターすら使われていないこともあるからだ。
また、ギター譜(タブ譜)が無い状態で耳を頼りに演奏を模倣することも良い勉強になる。
「何故ここでこの音が使われているのか」
ということを考え、理解することはギター演奏のみならず、作曲やアレンジをするうえでもとても参考になるからだ。
ポップス=人に好まれる音楽
とするのであれば、緩急や壮大さなどの
人の心に寄り添った音楽的アプローチ
を学ぶことが非常に重要であるからだ。
ポップスまとめ
ポップスをジャンルとして考えると
様々なジャンルの良いところを使って楽曲を流行らせる
ということになる。
ギターにおいても同様なため、簡単な演奏をひたすら繰り返すだけのものもあれば、超絶技巧で難易度の高い演奏まで様々だ。
それゆえにギター演奏の技術や音楽的センスを鍛えるにはとても良い教材になると言える。
現在の人々の「好き」を研究するジャンル、ポップス。
ギターを通じてその奥深さを是非学んでみてはいかがだろうか。
ロックで使用されるギター、必要な道具、金額、練習方法など
ロックで使用されるギター、必要な道具と金額
- エレキギター …2万~100万円位
- ギターアンプ …5,000~50万円位
- シールド …1,000~1万円位
- エフェクター 1万~10万円位
- ピック(好み) …50~100円位
- ギターストラップ …500~10,000円位
現在のロックは多様化しているためコレという決まりは特にないが、ソリッド(ボディ内部に空洞がない)タイプのギターが使用されることが多い。
初心者には特に調整がしやすく壊れにくいソリッドのものがオススメ。
また、エレキギターと言ってもシールドからアンプまでないと音が出ない。
そのためシールドからアンプまでが楽器といっても過言ではない。
アンプは必ずエレキギター用のものを使用すべし。
ライブハウスやリハーサルスタジオでは主要なアンプがレンタルできるので、あまり大きいものを買う必要ない。
自宅で使用するものとしては小ぶりでエフェクト機能が充実しているものの方が楽しめると思う。
シールドは好みだが、安すぎるとノイズが入りやすいので注意。
エフェクター(音の加工)に関しては種類が物凄く多いため、必要に応じて増やしていくことをオススメする。
アンプにエフェクト機能がついていてもライブやセッションなど外で演奏する場合は使用できないため個別にエフェクターは持っていた方が良い。
自身が「どういう音を出したいか」ということを念頭に置いて、わからないうちは楽器店員にイメージと予算を伝えて購入するのがベター。
カッコいいギタリストはピッキングの表現力も違う。
その為ピック選びも重要な要素となる。
こちらはジャンルやギタリストによって全くと言っていいくらい異なる。
金額もそこまで高くないので色々なものを試して
「このピックはこういう音になるんだ」
くらいの音色のストックは持っておきたいところ。
ギターのストラップ選びはファッションセンスがメイン。
特にロック系ともなると見た目がカッコ悪いだけで聴いてすらくれなくなる恐れがあるのだ。
長すぎると弾きづらいし短すぎるとカッコ悪いのでストラップ自体の長さ(調整幅)も大事。
また、ギターの色や着る服との兼ね合いも考えるべきだ。
練習方法
- 好きなアーティストの演奏を聴く(可能であれば映像で)
- コード譜やバンドスコアを入手する
- スコアを見て練習する
- 始めはゆっくり、徐々にオリジナルテンポにて練習する
- 曲に合わせて演奏してみる
- 違和感を感じた部分を修正する
- 音色も寄せてみる
練習に必要な道具
学ぶは「マネ」が語源だという説もあるが、ギターも同様。
コピーもせずにオリジナルでいきなり弾けるようになる人はまずいない。
コピーはリズム感や間、音色やニュアンス等ギター演奏に必要な様々な要素を学ぶには最も手っ取り早い手段でもあるのだ。
オリジナルに合わせて弾いていると
「音程はあっているのに何か違う」
という問題にぶち当たることがある。
要するに「音色」が異なるのだ。
ギターは異弦同音(異なる弦でも音が同じという意味)というものが多数存在するのでその感覚が芽生えた場合はどのポジションかを追求するのも上達のポイントである。
また、同ポジションで同じ奏法で弾いてもエフェクターの種類やかけ方が違っているため音色が違うといったこともある。
わたしは以前、音作りのみでスタジオに入ったことがある。
それくらいエレキギターは奥が深いものなのだ。
テクニカルな面においては初めは基本的な技術を習得することに力を注ぐべきである。
その際もメトロノームは必須アイテムである。
どれだけ超絶技巧で演奏できてもリズム感が悪い人の演奏はしょぼい。
逆にリズム感が良い人は間違った演奏でも、まるで正しい演奏をしていると感じるくらい説得力がある。
よりテクニカルな奏法(超絶技巧)においては
「何のため」
という部分が重要である。
多くの場合は「音楽的効果」のためのテクニカル奏法であることを忘れてはいけない。
誰かに見せつけるためのテクニックになっているギタリストがとても多い。
しかし、世の中のほとんどの人にとってギターのテクニックなんて必要のないものなのだ。
一般の方々に受け入れてもらえる演奏をするためには一般の方々の感性に寄り添うということがとても重要。
その為にオススメの練習方法は「演奏を録音して自分で聴いてみること」である。
ほとんどの初心者は、ギターを弾いている時にまわりの音はおろか自分のギターの音すら聞いていないことが多い。
はじめは「下手すぎて恥ずかしい」と感じることが多いかもしれないが、客観的に聴けるようになると自身の演奏の「良い部分」を発見できることもある。
それらがあなたの演奏の魅力となっていくのだ。
ロックとは
ひと言で「ロック」といっても、多様化する現在においては年代や国籍で解釈は様々である。
敢えてロックを語る上で欠かせない人物はロックの生みの親、チャックベリーの存在である。
彼がいなければ現在の「歪み」サウンドが生まれるのはもう少し後になったかもしれない。
通常ロックでは歪みサウンドが多用されるためソリッド(空洞がない)タイプのエレキギターが使用されることが多いが、チャックベリーはセミアコやフルアコといった空洞があるタイプのエレキギターがメインで使用されていた。
彼が「より大きい音を出したい」という想いからギターアンプの音量を上げて演奏していたところ音割れが起き、それが現在の歪みサウンドの基盤を築いたと言われている。
上記のような歪みサウンドを模倣するような形で作られたものが歪み系エフェクターである。
エフェクターはギターの音を加工するためのもので、現在では様々な音色のものが出回っている。
歪み系のエフェクターだけでも大きく分けると三つ、オーバードライブ、ディストーション、ファズ等が挙げられる。
また、特徴的な「リフ」と呼ばれるギターのキャッチフレーズのようなバッキングもロックには欠かせない要素である。
ロックには他にも色々なレジェンド達が存在するが、チャックベリーの存在を知ることはロックへの理解の基本と言ってもいいだろう。
フォークで使用されるギター、必要な道具、金額、練習方法など
フォークで使用されるギターと必要な道具と金額
- フォークギター(アコギと同じ) …2万~50万円位
- 弦(好み) …100~2,000円位
- ピック(好み) …50~100円位
- ギターストラップ …500~10,000円位
- スタンドマイク …1~100万円位
- ピックアップマイク(エレアコの場合は不要) …1万~10万円
- シールド …2,000円~1万円位
「フォーク」ではその名の通りフォークギターが使用される。
名称は異なれどフォークギターはアコースティックギターと全く同じものである。
近年は小ぶりなアコギが流行っているが、昔ながらのフォークを知る人はドレッドノートタイプを使用することが多い。
弦は好みだがスチール弦は劣化が早いため、コーティング弦を使用すると音色の持ちが抜群である。
※価格は少し高いがコストパフォーマンスは圧倒的
ピックは演奏者によって全く異なるが、わたしの知っている演奏者の中ではミディアムからハードのトライアングルのものがよく使用されている。
美しいストロークの音色を出すにはピックを垂直に当ててしならせるように弾くと出しやすい。
ストラップは立って弾く場合、必須アイテムだが座って弾く場合でも使用されることがある。
スタンドマイクは立って演奏する場合も座って演奏する場合も同様で、折り曲げられるタイプのものが使用しやすい。
歌を歌う時に楽器に当たらないようにするためだ。
中にはギターにもスタンドマイクを使用する人もいるが、ステージ主にピックアップマイクが取り付けられたアコギを使用することの方が多い。
ピックアップは生音とかけ離れた音色になってしまうことが多いので、真剣に音作りをしようとすると迷宮入りしてしまうことが多々ある。
個人的なオススメとしてはアコギ用のアンプを使用し、スピーカーにマイクを置いた音色で演奏すると良い感じである。
シールドは好みだが、あまり安いものを使用するとペラッペラな音色なるばかりか、ノイズも入りやすくなるので注意が必要だ。
練習方法
- 好きな曲のコード譜を見つける
- コードを弾いて雰囲気をつかむ
- ある程度弾けるようになったら弾きながら歌ってみる
- 録音したものを自分で聴き改善点を見つける
- 上記を繰り返す
- ライブで演奏する場合は同じ環境で練習すべし
練習に必要な道具
コツは「あくまで歌がメイン」ということを理解すること。
よくギターをガンガン弾きすぎて歌が聴こえない演奏者がいる。
世の中のほとんどの人にとって主役は「歌」なので歌を聴かせる演奏が大事
細かい技術を身につけるよりも安定感、安心感のあるリズムで演奏する方が聴き手は気持ちがいいものである。
コードストロークやアルペジオ等、様々なテクニックはあくまで曲の装飾を豊かにするものであるという感覚が大事。
普段生音で練習し、本番になってピックアップを使用して演奏すると普段の練習と異なる音色になるため演奏しづらくなるといったことがある。
その為ライブ等で演奏する場合は必ず同じ環境、同じ音色、同じ衣装で練習(リハーサル)をしないといざ本番で赤っ恥をかくことになるので注意。
日本のフォーク
日本でフォークは1970年代に流行るのだけど、フォークギターの代表格はMartin社のドレッドノート(D-28等)とGibson社のラウンドショルダー(J-45等)だといっても過言てはない。
カントリーでびギターはパワフルな音量で前に出る楽器だったが、フォークでは歌の伴奏として引き立て役に徹するという役回りとなる。
昔は「流し」といって、居酒屋やスナックにギターを持ちこみおひねり(投げ銭)をいただくというスタイルで生計を立てている人もいたようだ。
※わたしは会ったことがありません。
近年では「フォーク」という呼び名はもはや死語で、「弾き語り」と呼ばれることの方が多い。
DTMの発達から、自作CD等ではバンド形式で作成し、ライブでは弾き語りで行うといったアーティストもいる。
コロナ禍ではYouTubeやライブ配信等でも弾き語りが流行り、画面におさまる小さいサイズのものが日の目を浴びることとなる。
ピックアップやプリアンプの技術が進み、エフェクト効果を多用した演奏スタイルまで様々である。
有名どころだとEd Sheeranによるルーパーを使用した演奏などが挙げられる。
ギター一本でも多重奏が可能になったのだ。
個人的には自分一人でも楽しめるのがフォーク(弾き語り)の魅力だと思っている。
カントリーミュージックで使用されるギター、道具、金額、練習方法など
カントリーミュージックで使用されるギターと必要な道具と金額
- アコースティックギタードレッドノートタイプ) …2万~50万円位
- 弦(太目=ミディアム位) …100~2,000円位
- ピック(厚めのトライアングル) …50~100円位
- ギターストラップ …500~10,000円位
- スタンドマイク …1~100万円位
カントリーでは生音で大きい音量が求められるため、ボディは大きいドレッドノートタイプのものが主に使用される。
弦も音量を稼いだり太い音を出す為により太いものが好まれた。
ピックは個人的な印象だが厚めのトライアングルが使用されバッキングとソロでピッキングが異なる奏法になっている。
バンジョーやマンドリン、ウッドベース等と演奏する大所帯となるため基本的に立って演奏する。
その為ストラップは必須。 ※つけ方は個人の好み
演奏時はグループのセンターに一本のみスタンドマイクが用意され、ソロの時に各々が前へ出てマイクの前で演奏するというスタイルであった。
※近年ではピックアップを使用したスタイル等様々である。
練習方法
- カントリーの音源や動画を見て感じをつかむ
- 教則本で基礎を学ぶ
- ライブやセッション等で仲間を見つけ情報交換する
- 毎日練習する
練習に必要な道具
カントリーは基本的にバッキングパターンやコード進行が似通っているものが多いため一曲できるようになると次の曲が習得しやすくなる。
アコギと他のギターとの主な違い
- クラシックギターと同様、ボディがホロウ(空洞)構造になっている
- ナット幅(ネックの幅)がクラシックギターよりせまい。
- ネックにロッド(鉄の棒)が入っている
- 内部のブレーシング(力木)がXブレーシング ※強度を補うため
- ヘッドがノーマル(スローテッドではない)
- 基本的には生音だがピックアップマイクがついているものもある。 ※後付けも可能だが、エレキのピックアップとは構造が異なる
元々はバンジョーやマンドリンなどの音量が大きい楽器に負けじとクラシックギターが変化していったものだったが、1930年代に「ドレッドノート」というボディ形状ができてからはクラシックギターとは全く別のギターとして扱われるようになった。
カントリーの演奏は基本的に生音で、ステージではスタンドマイク一本。
現在では演奏方法も多様化していてピックアップを取り付けて演奏されることもあるようだ。
そのため近年、音量よりもボディの強度が重視され、構造も進化していった。
よりトラディショナルな演奏や音色を求める一部の伝承者は昔ながらの内部構造のものを使用したり、太い弦を張って音量の大きくすることを好む。
ギターソロの太い音色を出す為には研究と研鑽が必要になるくらい奥が深いものだ。
カントリーは曲の習得はそれほど難しくないものの、奥深く追求を楽しめる音楽ジャンルでもある。
クラシックで使用されるギター、道具、金額、練習方法など
クラシックで使用されるギターと必要な道具と金額
- クラシックギター …1万~数百万円
- ナイロン(フロロカーボン)弦 …1,000円~5,000円
- 足台 …1,000円~1万円
- 爪ヤスリ …100円~1,000円
クラシックギターは一見アコギに似ているものの内部構造は全く異なるもの。
指板の広さや形状が異なるため、購入したあとアコギと全く違うものだと気づく人がよくいる。
弦もナイロンやフロロカーボンといった素材のためスチール弦よりも太く、そのため指板も広く設定されているものがほとんどである。
クラシックのジャンルでは主に足台が必須アイテム。
座って指と爪で弾くのでストラップやピックは必要ないが、クラシックの音色を出すためには爪の伸ばし方や削り方などを熟知する必要がある。
練習方法
- クラシックギターの演奏を聴いて正しい音色を知る
- できれば習いに行く
- クラシックで使用される教則本を使用する
- 譜面は主に五線譜を使用する
- 正しい姿勢を習得する
- 正しい音色を習得する
- 正しいリズムを研究する
練習に必要な道具
他のジャンルとは異なりクラシックギターでは「決まり」が多く存在する。
自身で楽しむためだけに練習する場合は自由だが、クラシックギターならではの音色を出すためには習いに行かなければ不可能と言ってもいい。
他のジャンルのような「タブ譜」は一切使われず、五線譜がメインとなるため音楽理論の勉強も必要である。
クラシックギターと他のギターとの主な違い
- 弦がナイロンやフロロカーボン
- ネックにロッドが入っていない
- ネックとボディの接合方法もアコギと違う
- ボディが空洞
- ボディ内部の力木はアコギと異なる
- ヘッドに穴が空いている(スローテッドヘッド)
- 指板がフラットで広い
ギターと名のつくものの中で最も古い歴史を持つのがクラシックギター。
古くは1700年代にまで遡るものまである。
「ガットギター」とも呼ばれるように大昔はガット(羊の腸)などが弦として使用されていた。
現在ではナイロンやフロロカーボンの弦が主に使用されている。
ナイロン弦は張力が弱いためネックの中身にはロッド(鉄の棒)が入っていない。
主にアンプに繋がずに生の音で演奏することが主流となるためボディは空洞で生音が大きく出るように設計されている
一見アコギに似ているが内部の力木(ブレーシング)の構造はアコギとは全く異なる。
柔らかい弦を使用すると弾いたときの弦の揺れる幅が広くなるため指板が他のギターに比べて広く設定されている。
左足に置いて構え、ネックを握り込まないスタイルなので指板はフラットになっている。
他のギターよりも軽く持ち運びが楽だが例外もある。
フルオーケストラでも演奏できるような音量のギター(スモールマン等)は、内部が重厚な作りになっており、ソリッドのエレキギター以上の重さになるものもある。
一節によるとピアノの構造からヒントを得て作られたといわれている。
スモールマンギターの演奏者としてはジョンウイリアムスが有名。
※スターウォーズの作曲者とは別の方
最近ではエレガットと呼ばれるアンプに繋げることができるクラシックギターもあるが、クラシックという音楽ジャンルで使用されることはあまりないと考えて良いだろう。
構造も外観も似ているが、フラメンコで使用することを目的として作られているものもあるので、購入の際は目的や用途を店員にしっかりと伝えて相談すべし。
同じギター販売の店員でもクラシックに詳しくない者も多々存在するので、できれば専門店での購入をオススメする。
音楽ジャンルによって使用されるギターの違い
時代の流れによって使用のされ方と役割が大きく変わってきたギター。
ここでは各音楽ジャンルによって使用されるギターと役割について触れようと思う。
クラシック音楽
民族ジャンルを除いて最も古い音楽のジャンルと言えばクラシックだろう。
クラシックといえば大がかりなオーケストラでの演奏を想像する人が多いと思うが、ギターにおいては独奏やアンサンブルがメインである。
クラシックギターおいてはナイロン弦が使用されるクラシックギターが用いられ、独奏やアンサンブルがメインで使用される。
アンサンブルの形態によっては「レキントギター」と呼ばれる少し小さくチューニングも高い設定のものが使用されることがある。
また、先に挙げたオーケストラでも使用されることもあり、その場合はグレッグスモールマンによって作成された「スモールマンギター」というかなり重量感のあるクラシックギターが使用されることがある。
代表的なアーティストとしては「ジョン・ウイリアムス」が挙げられる。
※スターウォーズの作曲者とは別人
クラシックギター自体はスペイン発祥(と言われている)だが、近年は様々な国の製作家によって作られている。
クラシックギターの製作においては人づてに伝承されていくものであるため、作り方の詳細な説明書や設計図を文献で見つけることは困難であるし、あったとしても伝承者の説明がなければより良いギターを作ることも難しいと思われる。
そのため製作家を目指す者は著名な製作家に弟子入りをして修行してから独立することが多く、メーカー名も個人の名前であることが多い。
カントリーミュージック
いわずもがなカントリーミュージック(以下カントリー)では「フォークギター」が使用されている。
カントリーのジャンルは1920年頃に生まれたものだが、フォークギターもその頃に確立されている。
1918年頃により大きい音を出すため、クラシックギターに鉄弦を張ったのが始まりと言われている。
その後強度を補うために内部の力木(ブレーシング)が変更されたり、もっと大きい音を出す為にボディが大きくなって、1930年代に「ドレッドノート」というボディ形状が生まれた。
ひと言で「カントリー」といっても、歌がメインのものもあれば楽器メインの演奏もある。
アコギで超絶速弾きで弾くようなスタイルは「ブルーグラス」、ギター一本で伴奏も含めて弾くスタイルでは「ラグタイム」と呼ばれるジャンルもあるが、広く括ると「カントリー」の一種だと私は解釈している。
フォークソング
その名の通り歌がメインのジャンル。
今では弾き語りと呼ばれることが多く、基本的には一人でギターを弾きながら歌を歌う。
カントリーと同じくアコースティックギター(フォークギターとも呼ばれる)を使用するが、主役はあくまでも歌。
アコギではリズミカルなストロークやムーディなアルペジオという演奏スタイルが主流。
ロック
主にエレキギターが使用されるが、バラードの曲などではアコギやクラシックギターが使用されることもある。
エレキギターはピックアップ(マイク)でも音色が異なるが、ギターアンプやエフェクターでさらに音を加工することができる。
ロックでは主に「歪み」という音色で演奏されることが多い。
「歪み」という概念はチャックベリーというギタリストがアンプの音量を増幅した際に生じた音割れが元となり、今では音色の一つとしてとらえられている。
ポップス
近年、特に日本ではロックとポップスのジャンル的境界がわかりづらい部分もあるが、ポップスというジャンルはほぼ「なんでもアリ」という印象。
ロックは「カッコよさ」に比重が置かれているが、ポップスは曲の「コンセプト」や「伝えたいこと」に応じてバックのサウンドが決められる。
例えばフレッシュな曲の場合のギターはクリーンサウンドのカッティング演奏、ワイルドな曲の場合はロックのような歪みサウンド等だ。
また、ギターを使用して風景や動植物などを表現することすらある。
使用されるギターも様々で「ポップスと言ったらコレ」というギターはほぼ無い。
HR/HM(ハードロック/ヘビーメタル)
近年余り耳にすることが無くなってしまったが、現在のポップスにもHR/HMの要素が含まれていることもよくある。
このジャンルでは見た目が奇抜なエレキギターを使用し、エグめの歪みを使用したサウンドが特徴的だ。
バッキングでは5、6弦を使用したパワーコードがメインで、固めのピックを斜めにしてザクザクとした音色で弾くのが特徴的だ。
また、ギターソロも欠かせないポイントで、ソロの際はテクニックを全面に押し出した速弾きがメイン。
ブルース
本家アメリカでは「ブルーズ」という発音の方が正しい。
ロバートジョンソンを始めとする、アメリカの黒色人種による演奏ジャンル。
奴隷として扱われていた黒色人種の人々が歌を歌った時に、音楽の明暗を決める3度の音(ドミソのミ)が上がりきらず、哀愁を秘めたメロディになったことが始まりという説もある。
元々はロバートジョンソンのようにアコギ一本で弾き語りをしながら放浪していた演奏者達だったが、ある時からラジオなどで日の目をみるようになり、バンドでも演奏されるようになる。
カントリーやフォークとは異なり、4、5、6弦を使用したシャッフルリズムのサウンドが特徴的だ。
当時はお金のない黒色人種たちがなんとか(もしくは偶然)手に入れたギターを使用していたらしく、「ブルースを演奏する為にこのギターを使用しよう」などと考える余裕すらなかったと思われる。
ブルースから後々様々な派生ジャンルが生まれ、現在の音楽シーンに多大な影響を与えることとなる。
ファンク、ダンスミュージック
元々はブルースの派生ジャンル。
ファンクでは主にエレキギターが使用される。
複数本の弦を素早くいっぺんに弾く「カッティング」と呼ばれる演奏方法が主流で、「チャカチャカ」とリズミックなサウンドが特徴的。
ピッキングのニュアンスが表現しやすいシングルコイルと呼ばれるピックアップが搭載されたエレキギターが好まれるが、稀にハムバッキングのピックアップを使用する演奏者もいる(アルマッケイ、ブルースコンテなど)。
現在ではK-POPやアイドルグループなどのバックサウンドはファンクが主体となり、16ビートのリズムがメイン。
ジャズ
ブルースを始め、様々な民族音楽が合わさってアメリカで発生した音楽。
ひと言でジャズといっても色々な形態があり、使用されるギターの種類や役割も様々である。
以前はGibson社のフルアコースティックギター(通称フルアコ)と呼ばれるエレキギターが主に使用されていた。
※名前から勘違いされやすいがアコースティックギターとは性質が異なるギター
ビッグバンドではコンピングと呼ばれるバッキング演奏が主体で、リズムは4ビート。
カルテットではピアノなどと並んで通称ウワモノと呼ばれ、メロディやギターソロを演奏することも。
サウンドはクリーンが主体だが、現在ではロック系で使用される歪みサウンドが使用されることも増えてきている。
フュージョン
直訳すると「融合」となるように、ジャズをメインとして様々なジャンルを合わせた音楽ジャンル。
ジャズとの違いが難しく、「ジャズフュージョン」と呼ばれることもしばしばある。
ギターが主体となることも多くアメリカではパットメセニー、日本では高中正義などが有名どころである。
使用楽器はジャズとは異なりソリッドタイプのエレキギターが使用されることが多いが、これといった決まりは無く、演奏者によって様々である。
エフェクターもよく使用されており、表現の幅が広いサウンドが特徴的だ。
ソロギター
「ギターソロ」と呼び名が逆になっただけだが、意味合いは全然異なるもの。
主にアコギを使用したメロディと伴奏を同時に演奏するスタイルのこと。
有名どころとしてはトミーエマニュエル、日本だと押尾コータローがいる。
丁寧にメロディと伴奏を弾き分けるスタイルから、スラム奏法と呼ばれるリズミカルにボディをバシバシ叩くような演奏スタイルまで近年多様化している。
スラム奏法の場合、アコギの強度によっては傷や破損などの原因になるので注意が必要だ。
コロナ禍では「お家で一人で楽しめる」と人気が再熱したことが印象深い。
まとめ
以上が「音楽ジャンルによって使用されるギターの違い」となるが、忘れていることも多々あると思うので思い出した際は追記をしていきたいと思う。
ここではザっと紹介したが、深掘りするともっとたくさん書きたいことがあるのでジャンル各々でもリンクを書いていこうと考えている。
また、ここで書かれている内容はあくまで「参考」としてとらえ、好みや趣向などに応じてカスタマイズしていただくことを推奨します。
※クラシックギターは例外ですが…
以上
ギターの役割とは
ここでは10年間楽器店に勤めた私による
「ギターの役割とは」
という広大なテーマについて主観を交えて話していきたいと思う。
もちろん楽器店に勤める以前からギターには触れていたし、音楽が好になってギターに憧れるのはもっと前に遡るのだけれど。
Wikipediaとかにものっているけど、ギターの歴史を辿ると弓矢の「弓」に辿り着く。
恐らく弓を射る時に鳴った
「プン!」
という音が面白くなった原始人(いつの時代かはわからないけど)がプンプンプンプン鳴らしまくっていたところに誰かが
「箱つけたら音でかくなんじゃね?」
という安易な発想から
「うわ!変わった!まじすげー」
とか、そんなところから進化したのだろう。
恐らくそのころには具体的なギターの役割なんてなくて、時には弾いて、時に叩いて様々な「音」を楽しむ発明品みたいなところだったのではないかと。
その後、色々な民族によって同じような楽器が発生し、使われ、その中で少しずつ形や素材が変わって現在の形になるのだけれど、今ではあらゆるジャンルで様々な用途で使用されているギター。
ジャンルによっては「こう使用するもの」みたいな細かなルールこそ存在するものの、元々はただ楽しむ為のものなんだよね。
まあそれを言ったら全ての楽器がそうなのだけれど。
でもギターの魅力ってもっと凄いんだ。
それだけじゃないんだぜ。
見ててもカッコイイし、飾ってもカッコイイ。
一緒に寝たっていい。
憧れのアーティストに一歩近づくこともできるし、なりきって楽しむことだってできる。
そうなんだ
ギターの役割って
「夢」
なんだ。
俺たちに「夢」を与えてくれる大切な「何か」なんだ。
もはや楽器ですらねー(笑)
帰ったらギター弾きたいな。